指物師としての技術を身につけたら、直観により美意識を磨く、という感覚の段階に入ります。美術館や博物館などで常に名品と対峙するなどの機会を増やしてセンスを磨きます。この修練があってこそ、お客様の注文を具体化し、最適な形と最適な材料を組み合わせ、ふさわしい仕口で差し合わせて、美しく丈夫な江戸指物を完成させることができるからです。
制作の段階においても、常にインスピレーションを発揮し、細部を修正しながら美しいバランスの江戸指物を目指します。その経験の積み重ねこそが、江戸指物の真のレベルアップにつながっていくのです。 (矢尾板)
作者別: edosashi@admin
<中段階の技術>
道具と仕口を習得した後は、材料となる木材を見極める目が求められます。木表と木裏、柾目と板目、アテ木(反りやすい木)など、それぞれの性質を把握して、最適な組み合わせを発見できなければいけません。そして、ふさわしい木の厚みに整え、仕口で差し合わせられるよう、日々精進します。
江戸指物の場合、前面に複雑で美しい杢目を使い、周囲にはその杢目を引き立てる材を配するなど、杢目をデザインと考え、全体のバランスを見る力が求められます。また、湿気や乾燥など、エアコンや四季の変化に負けない工夫も求められます。
<初歩の技術>
弟子の誰もが親方から教わる技術です。最初は道具の手入れや直し方から始まり、次いで道具使いの速さや正確さを身につけます。逆目の止め方なども習得します。
また、自分で道具を作る技術も学びます。既製品では使いにくい場合が往々にしてあるからです。
そして、仕口です。数十種類ある、板材や棒材の差し合わせ方を身につけます。
現代生活とは?
現代は、住まいは寝起きするところであり、友と語るのは近くのファミレスかマック、それともゲーセン。食事は加工済の冷凍食品をチンして個々に済ませている。買い物はインターネットでペイペイ払い。遊びは、同じ趣味を持つ仲間とつるみ、家族それぞれは、別々にしたいように生きている。そして、みんな、高校、大学、就職、結婚と同じような道を歩いて大人になってゆく。今の若者は、みんな同じ顔に見える。それぞれに個性的な服装や髪型をしているけれど、何故か同じように見える。個性があるようなないような…?
菅田将暉さんが、二十歳の若者たちに一言、と乞われて、「一つのことを辛抱強く続けていける大人になってほしい」と言っていましたが、なかなか名言だな、と思いました。いつか花が咲いた時、何かが生まれるかもしれないと思いました。(矢尾板)